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「火器の誕生とヨーロッパの戦争」

絶版で高いだけの事はある読み応えのある本でした。

これの前によんだルネサンス時代の城の本とちょうど時代も被ってたんですけど
ヨーロッパ人は大砲が好きなんだーとしみじみ思いますw
なんかの本で、ろくに戦力にならないのに莫大な費用がかかる初期の大砲を
中国も中東もほとんど見向きもしなかったのに
ヨーロッパの王侯は何故か異常に情熱注いでひたすら発展させたおかげで
最終的にヨーロッパが火器で他文明圧倒する
っての読んだ事ありますけど
城の本とか読んでると、ヨーロッパが基本的に野戦ほとんどなくて
城攻めが基本だけど城が硬すぎてかなり労力かかる
ってところから、大砲なら・・・っていう感じがあったんですかね。

中世ヨーロッパで一番大きい戦争であるはずの
100年戦争でも大規模な野戦って結局数えるほどしかなくて
基本は都市や城の攻防でしたしね。
ノルマンディのフランスの都市や城を攻めあぐねたイギリスが
大砲使って破竹の勢いで攻略していって
その後今度はフランスが世界初の独立した砲兵隊を作って
やっぱり破竹の勢いでイギリスが篭るノルマンディの城砦攻略していったところとか
ヨーロッパで鉄砲より大砲、ってなるのも無理がないですね。
レコンキスタでグラナダ王国を破った原動力が大砲
イタリア戦争でイタリアの都市国家を震え上がらせたのも大砲
16世紀にはもう野戦だと塹壕や土塁つくって大砲備え付けて砲撃してたという
同時期のほかの文明とはまったく違う戦争してたんですよねー。
この本にはかいてないですけど、
1524年に発生したドイツ農民戦争でも農民軍が砲兵もってて
バンバン砲撃したりしてたくらいですしw
日本じゃまだ火縄銃すらなかったというのにw

ちなみに、最終章が大砲とか全然関係なく
国の財政の話メインになっててむしろおもしろかったですw
スペインがフェリペ2世時代に何度も破産した原因自体は分かってましたが
そもそも何故何度も破産することが可能なのか?
ドイツ傭兵に絡めて封建時代の王権から絶対王政への
王権の伸長について書いてて
むしろこの章だけを独立して本にすべきじゃないかと思いましたねw

ハプスブル家時代のスペイン王国の本いろいろよんでも
あんまその部分かいてないのでかなりためになりました。
やっぱヨーロッパ社会は戦争から見ないと、国王や政治家の伝記だけだと
もれてる部分いっぱいありますねー。

by paintya | 2015-06-03 23:50